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鉄筋業界で選ばれるCADソフトDINCAD

DINCADシリーズは、デーバーインフォメーションネットワークス株式会社(東京都中央区)が開発する配筋図、納まり図などを作成する鉄筋業界向け作図支援CADソフトだ。もともとはAutoCAD LTのアドオンソフトとして販売していたが、2020年よりIJCAD Proにもアドオンできるように開発し、ユーザーに使用してもらうベースCADソフトの選択肢を広げた。 DINCADのここ数年間の変遷について、DINCADを開発・販売するデーバーインフォメーションネットワークス株式会社の長嶋一浩氏、DINCADの販売代理店サンデンキ株式会社の明石 環氏、両名にお話を伺った。

鉄筋業界で選ばれる作図支援CADソフト「DINCAD」

図面内の鉄筋情報を範囲指定して集計が可能
デーバーインフォメーションネットワークス株式会社 取締役 常務執行役員 長嶋一浩氏

――DINCADは鉄筋業界に特化したCADソフトですが、どのような点に特徴があるのでしょうか。

長嶋 弊社は、株式会社アイコーのグループ会社として、DINCADを開発・販売しています。私はもともと、アイコーの建設現場で鉄筋を担いでいました。そこでAutoCADを設計用に使っていたのですが、いろいろと不便を感じる部分がありました。そこを自分自身で使いやすいように改良して使っていたものが、DINCADの原型となりました。

――現場でCADを使う人の視線で改良されていたのですね。

長嶋 はい、それが社長に見つかり(笑)、鉄筋業界に特化した設計ソフトの開発担当になりました。十数年前のことです。

――独自目線で作られた。

長嶋 まず、鉄筋構造物を設計するときに必要なテンプレートは、建築設計のテンプレートでは補いきれない面があります。鉄筋には鉄筋のテンプレートが必要と考えました。
 CADを使う人は主に現場の職長さんで、日々現場で設計図面の微調整が図られます。そのとき、現場で快適にCADが使えないと業務に支障が出ます。そのために書き換えしやすいテンプレートをいろいろと作りました。
 また、積算データとの連携、加工帳の作成、工場との加工帳データのやり取りの自動化など、こうすればもっと便利にCADが使えるな、と感じたことはDINCADに組み込んでいきました。

――現場と直結したソフトという開発コンセプトが400社を超える鉄筋業界でのシェアを実現させたわけですね。

永久ライセンスの重要性

――スタート時はAutoCAD LT専用のアドオンソフトだったのですか。

長嶋 はい。業界全体がDWGファイルをメインとしていたので、シェアの高いCADソフトでの開発となりました。それが2016年にAutoCAD LTがサブスプリクション化されてしまい、私ども、というより建設現場に激震が走りました。

明石 DINCADのお客さまの大半は、現場を指揮する職長さんです。当時、彼らの多くはサブスクリプションに対する知識を持ち合わせていませんでした。朝、現場でDINCADを立ち上げると、ベースCADソフトのAutoCAD LTが起動しないとお客様からお困りのお電話をいただいたこともありました。もちろんオートデスク社のサービスの仕様変更のご案内はしていましたが、見ている人はほぼいません。それでどうしようってことになりました。

長嶋 重要なのは、今使っているソフトが明日も明後日もストレスなく動くということですよね。そこにライセンスの問題で業務が止まると、現場の人に負荷がかかってしまいます。

明石 職長さんの多くは個人経営で事務所は自宅、作業員数名といったスタイルで働いているので、サブスクリプションだと新たに費用面でも負担が増えてしまいます。サブスクリプション化は避けて通れない道ではあるものの、それが原因で業務が止まることはあってはなりません。

長嶋 そういういきさつでAutoCAD LTと親和性が高く、永久ライセンスでもあるIJCADが私たちの目に留まりました。

CADから取得した情報を元に鉄筋を配置・編集
サンデンキ株式会社 明石 環氏

DWG互換CADとしてのIJCADの優位性

DINCADを使用する技術者
今後の展開を語る両氏

――IJCADへのアドオンが決まってからリリースするまではどれくらいの期間を要しましたか。

長嶋 2019年に体験版をはじめて触ったのですが、AutoCAD LTのように動かすことができたのには少々驚きました。もちろん微妙な相違はあるのですが、これならベースCADソフトが変更となった場合も、現場であまりトラブルは起こらないだろうと思いました。  半年ほどでIJCAD版のDINCADが完成し、リリースは2020年からです。

明石 IJCADを知ったのは長嶋さんからでした。早速使ってみるとユーザーインターフェースもAutoCADと似ていて、操作性もAutoCADライクにできる。売る方の立場としてもIJCADはおすすめしやすいソフトでしたね。

――IJCADを採用してよかった点はありますか?

明石 鉄筋業界の場合、Jw_cadで作成されたファイルが以外と多い。準大手のゼネコンさんなんかでは今でも使っています。IJCADはそこにも対応している。それも採用メリットの一つでしょうね。過去の膨大な図面資産を有効利用できるのも大事ですからね。 それと、DINCADのライセンスはUSBキーで動作していますが、IJCADもUSB版があります。一緒に管理できるのでこれが意外と便利。現場のPCも事務所のPCでも使用できるので運用しやすいですね。

――IJCAD版DINCADの今後の展開をお聞かせください。

長嶋 AutoCAD LT版は2016までは永久ライセンスだったので継続して使っている方もいらっしゃいますが、Windows11になって、バージョンが古いまま使っているため動作が不安定になってきたという声も聞こえてきました。そんな方にはIJCAD版への乗り換えをお勧めしています。

明石 職長さんのなかには一からCADを勉強される方もいますが、そのような人は全体の5%にも満たないと思います。多くはITというと、端から及び腰です。でもそういう人たちにも使っていただきたいCADソフトです。

※ デーバーインフォメーションネットワークス株式会社のホームページ 
https://di-networks.jp/
※取材作成 :オフィスNWK
※取材日時 :2022年11月