IJCADを組み込んだ
土地家屋調査士向けソフトが登場
図面作成、カスタマイズが大幅にスピードアップ(インテリジャパン)
土地家屋調査士など“士業”向けのソフトを開発するビービーシー(本社:東京都新宿区)は、同社の「2in1 Win 表示登記申請システム」の作図機能に、インテリジャパンのDWG互換CADソフト「IJCAD」を組み込んだ。その結果、作図機能が大幅に改善され、カスタマイズによる機能の新設も容易になった。土地家屋調査士などのユーザーからは低価格で充実した機能が使えると好評だ。
ビービーシーは土地家屋調査士向けソフトに、インテリジャパンのDWG互換CAD「IJCAD」を組み込んだ
─IJCADの導入でフットワークも軽くなった
「IJCADを当社の『2in1 表示登記申請システム』に組み込んだ結果、作図機能のフットワークが軽くなり、ユーザーから要望された機能も素早く実現できるようになった。IJCADを搭載した新ソフトに、手応えを感じている」と、ビービーシー代表取締役の浪岡茂氏は開口一番に語った。
同社は土地家屋調査士や司法書士、税理士、測量士などの“士業”を対象に、1975年以来、40年以上にわたってソフトウェアを開発してきた。特に土地家屋調査士と司法書士など、2種類以上の資格ホルダーが正確でスピーディーに業務を行えるように、異なるソフトのデータをシームレスに連動させる機能を持った「2in1シリーズ」のソフト開発に力を入れている。
その代表的ソフトである「2in1 表示登記申請システム」は、2000年に不動産登記用システムとして開発された後、2011年には建物用の図面作成システムを追加した。ところが扱う図面が複雑化するにつれ、以前の日本製CADソフトでは機能とパワーが不足してきた。
そこで、インテリジャパンのDWG互換CAD「IJCAD」を組み込むことを決断し、2015年秋から開発を始めた。そして2016年4月に、IJCADを搭載したオプションのCADシステムが誕生したのだ。
IJCADの搭載により、パワーアップした「2in1 表示登記申請システム」のCADシステムオプション
─世界標準に準拠したCADの予想外な効果
CAD部分に世界標準の「AutoCAD」と同様に使えるDWG互換CADを採用した効果は、予想以上に大きかった。
まずはデータの互換性だ。建設や測量などの業界で幅広く使われているDWG形式の図面をそのまま読み込んで使えるため、過去の図面資産を有効に利用し、作図効率を高めることができた。
また、DWG互換CADとしてのメニューやコマンドを採用しているため、作図手順も標準的だ。そのため、初めてのユーザーも他のCADに慣れていればスムーズに移行できる。
そして、ソフト開発に大きなメリットをもたらしたのは、「.Net(ドットネット)」という言語で、作図機能などをカスタマイズできることだった。
ソフト開発を担当したガットコンピューター代表取締役の宮村一明氏は「ドットネットはAutoCADにも採用されており、世界中のソフト開発者がさまざまな機能のソースコードを公開しています」と語る。
「新しい機能も、過去に開発されたドットネットのコードを再利用したり、改造したりすることで、スピーディーに開発することができました」と宮村氏は言う。そのため、わずか半年という短期間で、CAD部分のエンジンを入れ替えるというソフトの大改造が可能になった。
ドットネットを活用し、わずか半年の作業でカスタマイズされたCAD作図機能
─IJCADの導入で操作性が格段に向上
CAD機能を世界標準に準拠したIJCADにしたことで、新機能の開発も簡単に実現できるようになった。
CAD機能を世界標準に準拠したIJCADにしたことで、新機能の開発も簡単に実現できるようになった。
例えば、「2in1 表示登記申請システム」には、座標計算や面積計算の機能や、法面・ブロック塀を簡単なクリックだけで作図する機能、道路や側溝などの断面図を作図する機能などが盛り込まれている。
ドットネットによるカスタマイズで開発した法面やブロック塀の作図機能
「ユーザーからはCADの操作性が格段に良くなったと、好評をいただいております」と言うのはビービーシー技術サポート課の秦祐介氏だ。「これまでフリーソフトのCADを使っていた人も、IJCADを導入した新バージョンは問題なく使えているようです」(同)。
さらに浪岡社長は「他社の類似ソフトに比べて、機能はよく使うものに絞り込んでいるものの価格が半額以下ということで、ユーザーからは評価されているようだ」と語る。
しかし、ビービーシーはまだまだ開発の手を緩めてはいない。更なるパワーアップのために現在も機能の追加や開発を検討中だ。
─設計ツール、組み込みCADとして活躍
その後も、国土地理院の数値地図データへの対応や、操作を解説した動画マニュアルの開発、IJCADのタブレット版を使ったアプリ開発などの構想もあり、IJCADを搭載した「2in1 表示登記申請システム」は、今後も進化を続けていきそうだ。
DWG互換CADとして使いやすいIJCADは、汎用CADの「IJCAD 2016」や建築・土木用の「IJCAD Civil」のほか、機械設計用、電気設計用、そしてモバイル向けの各バージョンが用意されている。一方、建築や電気・ガスなどの分野では、他社システムに組み込まれて、CAD機能を担っている例も数多い。
インテリジャパンのウェブサイトでは、無料体験版もダウンロード可能だ。ここ数年、性能や使い勝手が格段に進歩したDWG互換CAD「IJCAD」を一度、試してみてはいかがだろうか。
※ 株式会社ビービーシーのホームページ
http://www.bbcinc.co.jp/
※ 取材制作:イエイリ・ラボ
※ 取材日時:2016年11月